那 須 街 道 その壱

 

那須といえば「那須の余一」か。

当時、長男から太郎、次郎、三郎、・・・十郎と名をつけるのだが、十一番目に生まれた子に「余一」とつける習慣があった。これが「余一」の名の由来であるらしい。十一人兄弟のうち九人まで平氏で、源氏に仕えたのは十男の兄と余一の二人であったという。源平屋島の合戦で、海上の扇の的を見事射貫いたことはあまりにも有名である。

そんなこととは全く関係なく、我が家の旅は那須へと向かっている。残暑厳しい八月後半の週末である。

全く関係ない証拠に、まず我々が向かったのはラーメン屋である。我々というより「おやじが、」といった方が正解だ。インターネットで「那須」、「ラーメン」と二つのキーワードで検索し当たった店だ。ディーラーの部品交換や調整などが多く、ガソリン直噴エンジンのくせに全然燃費が悪い我が愛車シャリオグランディス(全然いいとこないなぁ)の「ナビ」のおかげで着くことが出来たが、地図無しナビ無しでは絶対にたどり着けない

ようなシチュエーションにこの店はある。郊外の住宅団地の真ん中に、忽然と姿をあらわすこの店の名は「美幸」。店の道路をはさんだ駐車場には数台の車が駐車しており、このシチュエーションだが客は集まっているようである。中に入ると、強烈なテーブルが目を引く。厨房周りはカウンター席が並んでいる。ラーメンは醤油と塩の二種で麺を「手打ち麺」と「細麺」の選択ができる。ラーメンにはチャーシュー、ほうれん草、シナチクに

鶏肉塊と椎茸片がのっている。チャーシューはでかくて柔らか、標準ラーメンにも2枚のっかっている。両ラーメンともスープの出汁は「軍鶏」である。「軍鶏」の濃厚な出汁に醤油、塩味としたものだが、いずれも椎茸の風味の利いたさっぱりとした味に仕上がっている。醤油はちょっと甘い感じで、個人的には塩がおすすめである。この店は前述の様に「軍鶏」が売りである。「軍鶏刺身」、「軍鶏焼」のメニューもあるが、前日予約制とな

っている。しかし、諦めずに聞いてみるものだ。刺身が食いたいというと、「大丈夫!」との解答、刺身にありつくことが出来た。2種類の肉が並んでいるが、どこの肉やらさっぱり分からん。しかし噛めば噛むほど味が出る肉である。安居酒屋で出てくる「とりわさ」とは違い、醤油やわさびに負けないぐらい味を主張しているのだ・・・、う〜ん、

ビール飲みたい。しかし、この店の大将、しゃべるわしゃべるわ・・・、「お客さんどちらから?埼玉、あ〜そう、そちらのお客さんは、神奈川?この前来たお客さんは札幌だって言ってたねぇ。」しゃべり尽くした上で右写真の軍鶏焼をサービスしてくれた。これがまたうまいのなんのって、噛めば噛むほど・・・、さっきの刺身より味わい深いぞ、これは!!ラーメンと一緒でなく酒と一緒に食いたい代物であった。「埼玉に帰ったら

みんなに宣伝してね〜」という大将の声に「こんだけ客入とったら十分やろう。」と心の中だけで返答し、店を後にした(私らが帰る頃には満員でした)。

 次に向かったのは茶臼岳(那須岳)だ。茶臼岳は、溶岩が火口から押し出され成長してできた活火山で、噴気孔は頂上の北側など5ヶ所あり、今でも噴煙をあげているそうだ。6年前、雄輝が生まれる前に来た際には、

ガスでかすんで景色も何も見えなかった記憶がある。その山頂に向かう有料道路「ボルケーノハイウェイ」に入る手前に「賽の河原」と呼ばれるところがある。一帯から硫黄の噴出する岩場で、近くなるにつれ車中まで異臭が漂ってきた。ここには九尾の狐の伝説の殺生石や千体地蔵などが祀られ、湯ノ花採取場跡もある。江戸時代には年貢米の代わりに湯ノ花を納めたそうだ。松尾芭蕉の奥の細道にもここ賽の河原が記されているという。

6年前ガスで何も見えなかった茶臼岳。今回も雲が低く見れないのかと多少気落ちしていたその時、前方のガスが晴れ始めた。左写真は茶臼岳、右はその隣りの岳だ。隣りの岳はくっきりとその輪郭が見えるまでになったが、茶臼岳のほうはうっすらとガスがかかったままだった。

右写真は山頂へ向かうロープウェイ。尾根の向うには刻々と変化する雲が流れてゆく。いつまで見ていても飽きない・・・。

我々は一路子供達が待ちに待ったホテルへ、茶臼岳を後にした。宿泊先はホテルサンバレーだ。22種類の温泉スパが売り物で、子供達もこれを楽しみにしている。「ホテルまだ〜、ホテルまだ〜。」との連呼。少しでも早く温泉につかりたいんだなぁと、車を急がせた。そしてホテルに到着、さっさと部屋に入り、着替えて温泉スパに直行かと思いきや、ホテルのロビーに準備されているウェルカムドリンクコーナーにつかまるのだった。

ジュース飲み放題、お菓子食べ放題で、結局、30分くらいここでつかまっていた。ビール、ワインもあり、おやじも満足。その後、ようやく部屋に荷物をおき、着替えて、温泉スパへ・・・。硫黄風呂、酒風呂、炭風呂、ハーブ風呂、打たせ湯、寝湯、緑茶風呂、コーヒー風呂、サウナ各種などがある。

温泉水による流れるプールには、バブル噴出系のリラクゼーション設備が各種あり、ゆったりと遊びと癒しの時間を楽しむことができる。無論子供達は大喜び。あっという間に時間は過ぎ、これも待ちに待った夕食だ。フランス料理1万円のコースより、ランチバイキング千円×10回を確実に選択する我が家族だが、77種類のメニュー、10種類以上の

ケーキ、アイス等子供もかみさんも大満足の内容だった。単にそれぞれのメニューが並んでいるだけでなく、目の前でステーキを焼いてくれたり、寿司をにぎってくれる。中でも那須牛のしゃぶしゃぶは美味かった。それと冷静ポタージュ、これは、かみさんも同意見で実に美味かった。かみさんに言わせるとケーキ類もはずれがほとんどなく、おいしかったとのこと。食事後、メダルゲームをひととき楽しんだ後、部屋に戻る。

子供達は浴衣に着替え「おやすみ」だ。浴衣を着たのだが、30分後くらいには、もうはだけちゃっておなかが冷えそう・・・だった。浴衣の下には下着(Tシャツ)を着させており、一応安心、でも空調をゆるめにセットしておいた。

子供達が就寝の後、我々夫婦は、私達の泊まった部屋と同じ階にジャグジー風呂があるので、それに向かった。他に客はなく、独占状態でその日の疲れを癒したのだった。昼間の子供達の笑顔を思い出しながら・・・。